オチルアイダニ
透明な魚

僕らが蒼に染まるとき
感覚のない海に浸って
僕らは巡る
どこか知らない
暗いとも明るいとも分らない
手を伸ばして届く範囲の
永遠に届かないトコロに

僕はどこか遠い世界の住人と
1つ屋根の下
共に猫を育てながら暮らしている
喧嘩しない程度に語り合ったり
喧嘩にならない程度に殴りあったりして
彼は別の世界に意識を繋いで
けんだまみたいに
あっちこっちの可能性に
ゼロを置き換えている
僕は解けそうにもない
背理法の証明を
感覚で判断して
床にほうりだしたまま
それは輝きを失い埃をかぶっている

僕らは巡る
誰も知らない町並みや
誰も気がつくことの無いイデオロギィ
枯れてしまった花たちは
朽ちる可能性に十分な理解を示していたのか
美しさは保たれている

世界の果てと言われる
その場所で僕は
昨日みたドラマのように
美しいエンドを導く事ができるだろうか
さんざんに加工した数式が
「そろそろ役に立ちたいな」と
僕に迫ってくる

ひとしきり遊びを終えた彼が
僕の玩具に目をつけて
こちらにやってきた
「埃がちるから」と僕は
少しイライラして
彼の手を払いのけた
まだ僕も遊びたいのだ
僕はラジヲのボリュウムを少しあげた
初めて聞えた音に
彼はナントナク耳をふさいだ
そんなものなのかな?
新たな創造というものは


自由詩 オチルアイダニ Copyright 透明な魚 2008-11-24 15:05:36
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