オリコンの夢
K.SATO

ゴトっと落としたエレクトリックギターで
緩んでさえぎられた肩掛けに
白く鳴った譜面に気づかなかった
流れる視線をした瞳

長方形のシングルジャケットたちが脳裏に
並ぶ 年内に必ず
オリコンチャートに
この俺を絶対にねじ込むと誓う

 ピッピピキキピキピキピキピキ…
ハチ公前を人手が息している渦みたいに
 ピッピピキキピキピキピキピキ…
むこうへと 円弧状の波が
 ピッピピキキピキピキピキピキ…
うすくそこに夢色を塗った
 ピッピピキキピキピキピキピキ…
高鳴りと消沈のなりゆきによる
 ピッピピキキピキピキピキピキ…
ツキのようなものを 遊技場の
 ピッピピキキピキピキピキピキ…
こんもりとしたほのかに薄い黄緑の 塩ビポスター

ゴボオホっっと
僕は
抱えている。
持病を長く肺に
似た様な コホとかをまた発し 小児喘息気質の
痛みだ にじむ点々の 体じゅうに深夜もだ
アルカリの薬に溶けた丘稜の緑を歩き
玉たちの変化を印字したグラフをたぐりながら
癒えを 思う
この そして
回復を

ピッピキキ…キキキ
スタジオルームで こんもりとした丘に
出て立つ地上を思う 割り増しするし
ポケットもまさぐるが うっすら
だいぶスったもんだ と響く

ギターを包み ファスナーをぎゅっと引き上げ
パチと アンプの電源を落とし
手をドアノブにかける 電池 いやアルカリが効いてきたようだ
ふっとわずかに
微笑みを口元にして笑うと
えいやっと入った 夢の オリコンを俺は!
つかむのだと…


自由詩 オリコンの夢 Copyright K.SATO 2008-11-24 00:04:30
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