それでもまだ日付が変わるまでは　黙っていたいことがあって／わたしは玄関にいる　幼年期に買ってもらえなかった自転車は買ってある　柱にくくり付けられていて　犬のようにはしゃぎもしない　鍵の番号は親の誕生日にされた　何もわたしのようだと表現しなくとも　誰もかも　わたしのようだと表現しないだろう　そうだ　あの自転車はただの一度も　使われたことのないあの自転車は　もうベルが錆びているあの自転車はただの　一度も走ったことのないあの自転車は一度も　わたしに表現されなかったただの自転車の一度も　もうベルが錆びているわたしは走ったことのない　玄関の中をわたしは幼年期に買ってもらえなかった　玄関の中を犬のようにはしゃぎもしない　玄関の中を犬のように錆びている／ほとりほとりと　ほとりを目指す舟　冷たいわら　流れの途絶えた川・街道　投げ入れられる夕刊　それでもまだ日付が変わるまでは　黙っていたいことがあって

外出（がいしゅつ）を諦（あきら）める　寂寞（せきばく）とした　部屋（へや）の静謐（せいひつ）をまさぐり　難解（なんかい）なロジック（ろじつく）のごとき啓蒙（けいもう）を啓蒙（にどめ）する　わたし（わたし？）は目（め）を閉（と）じるとき　窓際に立ち口を開けるのだ（まどぎわにたちくちをあけるのだ）　窓に写る光景（雨が降っているようだ）　とる（り）が飛んでいく　（ときおり）時折単調なまでの（あじさい）の群れが　眠気に襲われている（あるいは）　孤立（ある小さな）　集団（神経質の）　せきとう（石塔・積等・赤灯？）　おもわしくない（ことが今）起ころうとしている（潰瘍）鮮やかな（夕焼けの）おもわしくない（孤立）　奈良時代から遣唐使がたびたび派遣されたのは何のためか答えなさい（　　　　　　）　「わたし」の気持ちが説明されている一文を文章中から抜き出して初めの五字を書きなさい（　　　　　）　わたしたちがこの世界で生きていく術を教えてください（あるいはスペースを入力してください。）

（空虚なこころ）