最悪なものばかり選んでいく
k o u j i * i k e n a g a

(失うものすら持っていなかった女の子たちへ)

 ゆびのすき間から桃の果肉がぶちゅる、
 って逃げて行くというよりも追い出すような
 だからもう女の子たちはソフトクリームを
 溶けるまでしっかりと握って、
 でも決して食べてはいけない

 指にぽたっ、ぽたっ、って
 でもゆびのすき間からこぼれ落ちる桃を
 女の子たちのソフトクリームに
 のせて食べたらきっと
 おいしいだろうな
 それはいいな

 もう一歩も動けない状況で
 それでも地面が運んで行ってくれる
 南へ
 だから桃を汚くたらしたまま

 女の子たちはまた取り残され
 ソフトクリームはもうほとんど
 溶けてしまって
 地面にも吸い込まれず
 恥ずかしそうにしている

 南へ向かいながら、それを眺め
 いけない気持ちになる
 いつもこの繰り返しで、
 桃は腐臭をはなつ

 成熟から遠い場所で足元を見つめて
 動けなかった女の子たちは悲しいな、
 と考えるのが精一杯です


自由詩 最悪なものばかり選んでいく Copyright k o u j i * i k e n a g a 2004-08-07 01:07:35
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