うつわ うつろい
木立 悟





白へ白へ旅をする
木目の道の途切れるところ
裸足の足指
つまびくことの
終わりとはじまり


小さな柱がいくつかつづき
見えない川を示している
枯れた花が陽を拾う
野は
水紋にゆらぐ


ひとつ鳴るたび
ひとつ軋む
水と砂 水と砂
硝子のような
緑に降る


つらなりゆく背
枝の奥の
鏡へ進む背
くらべるまもなく
変わりゆく背


時が鼓のように在り
誰も鳴らさず鳴っている
造られたものらに目をふせて
渦の道
洞の道を聴いている


歩むもの
つまびくものに
まとわりつく
水と砂 水と砂
錆びた振り子の刻む音


金と銀
鉄と鉛を持つ透明が
かげろうに空を示せずにいる
音は途切れ 音ははじまり
破れた淵を繕えずにいる


はかり きり
はかり きり
うたはうつわからこぼれ
野の根元
道との境に流れてゆく


揺るがぬものが揺らぐひびき
粒の波
光の破れめ
もとめる指を
すりぬける声


かわいた肌を映しながら
かわいた肌をころがる滴
たなびく光のむこうの光
手を振りつづける光のむこうに
足指は音を残してゆく


















自由詩 うつわ うつろい Copyright 木立 悟 2008-11-17 11:05:08
notebook Home 戻る