タクシードライバー
K.SATO

わたしはタクシードライバーだから
金曜日の夜は大忙しだ
居酒屋からラブホテルまで体を送り
今度はラブホテルから自宅まで
同じ体を運びこまされなければならない

彼らが出ていっている間
わたしは彼らの姿を想像する
ここにいた二人は今何をしているのだろう
あたたかいシャワーの中かもしれないし
明かりの中で抱き合っているのかもしれない
女の人は何をされているのだろう
きっとやさしく撫でられている

わたしはきつい制服を着せられていて
壊れたシートベルトを外せないままでいる
最近呼吸が突然荒くなり 息を吸う
連日の徹夜業務のせいなのか
ひょっとしたら 何かの病気かもしれない

彼らは約束の時刻になっても出てこない
わたしは時計を何度も何度も見る 今日も
ノルマ50%が果たせなければクビかもしれない

やはり彼らは出てこず
わたしはその場で眠ってしまう
さっきまでここにいた
彼女の恋人にやさしくやさしく抱かれながら


自由詩 タクシードライバー Copyright K.SATO 2008-11-15 00:01:40
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