青いベッドに咲く
湿児えのき


青いベッドに咲いている牡丹が
枯れてゆくのを君とふたりで見ている

君は枯らすまいと水を撒き肥料を与え
世界の終わりを待つように震えている
その隣りで煙草をくゆらせながら笑う

例えば
君の震えが世界の終わりを危惧するものだとしても
きっと僕は君の隣りで同じように笑っているだろう
もしも君が嫌がって泣いたって隣りで笑ってやろう
僕にはそれくらいしか出来ないけど十分だろう


花弁が一枚また落ちた
枯れてゆく牡丹と僕たち
青いベッド あの日のこと
思いだしていてよ


猫背の君がこっち見てる
喫緊事?馬鹿馬鹿しいね

牡丹の花は枯れてしまうべきだ
朝、目覚めれば枯れてしまってるはず
もう牡丹の花は見飽きたんだよ
だから違う花が咲く

君は紫苑が良いって笑うだろう
紫苑は咲かない
僕がそういう魔法をかけた

次に咲くのは真赤なチューリップ
セクシーな彼女には芽と名付けたい

僕に根を這わせる悪の根源は枯れてゆく
そうして君にはチューリップの球根を
ズルして埋め込んで大切にしていたい


数年後に芽生える予定のあの子を思って





自由詩 青いベッドに咲く Copyright 湿児えのき 2008-11-13 11:26:28
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