白雪の予感
アヅサ




何億光年もむこうのほうの
小さな星がたたく鍵盤の
黒いところに光が集まって
猫みたいな声をあげて
女の子がひとり生まれる



ちいさなはこに落っこちた
なつかしい湖の色の彗星
女の子が魔法の呪文を呟く
別になんにも起こらないけど
なんとなく世界のどこかで
雪が降ったような気がする



つめたい青の空と水たち
若い葉っぱがちいさく震えて
彼らにすこしきずがつく
その隙間から 見覚えのある
透明な影がおりてきて
世界をちょっと白に染める
涙がちょっと白く染まる





自由詩 白雪の予感 Copyright アヅサ 2008-11-12 18:14:10
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