命題
真紅

蟻のように働き

見返りは少なく

褒められもせず

当然だと言われ

義務だとも言われ

秋空に想いを馳せる暇も無く

夢を抱くゆとりも無い

掃き溜めのような飲み屋で愚痴を吐き

終末へ続くようなアスファルトを歩く

退屈な日々を罵り

だが変化を求めることはせず

やり直したいといつでも考え

いいことあるさと楽観視

捨てて、捨てて、捨てて、捨てて

拾って、拾って、拾って、拾って

貴様のやってることなど繰り返し

時間だけが過ぎていく

一日の繰り返し

他人が見たらつまらない人生

必死な人間など数えるほどで

あとは、老いて倒れて

病室のベッドで

荒い呼吸を経て

嘔吐や失禁を経て

恐怖を経て

諦めを経て

死んでいく

罪は消えるわけもなく

遺族の涙は一過性

せめて笑って逝きたいが

逝くのに笑えるわけがない


自由詩 命題 Copyright 真紅 2008-11-08 23:35:19
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