ひとつのマニフェスト
みつべえ

あなたが本当に美しいのは
意味の脈絡からはみ出すとき
風物の呪縛をたち切るときだ
わたしたちはもっと大胆になろう
わたしのささやかな所有がわたしを名づけてしまい
それと知りながらそれを明示できないわたしの怠惰
だってさあそれをするのは自らの卑小さを名づけることで
いったん言葉にするともう他の命名ができないような
せっぱつまったせまい感じになってしまいそうなんだ
それに人間って移ろいやすいものだから
いつまでも同じ名前では呼べないと思うんだ
わたしの自己弁明はみっともないか
あなたの興味をひくために
ことさら自分の傷を晒してみるべきか
これは散文なのか詩なのか
わたしはわたしへ向かってかぎりなく遠ざかる
わたしはコンテクストを逸脱する瞬間が好きだ
読みかえさない潔さが好きだ
ただひたすら前へ前へとかいてゆく
いまはそういう時期なのだ
わたしはわたしを統御できない
あなたを痛切に想う
あなたが好きだ
好きだ好きだ好きだ



自由詩 ひとつのマニフェスト Copyright みつべえ 2004-08-04 19:47:51
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