待つということ
小川 葉

 
待ってる
ということは
生きてる
ということだから
待ってくれなかった
そのひとは
死んでしまったのかもしれない

遠くから
改札口を見つめるそのひとは
待ってる
というよりも
待つことのできない
たったひとつの世界から
なすすべなく
見つめることしか
ゆるされないのかもしれなかった

今朝はやくとどいた
その郵便物を
ぼくは待っていたわけではない

開けたわけでも
閉めたわけでもない
窓の外に景色だけがつづいてる
列車に乗りながら
なすすべなく
待ってくれなかったひとが
ぼくを待つその駅まで
旅はつづいてる
 


自由詩 待つということ Copyright 小川 葉 2008-11-05 04:28:12
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