モラトリアム
倉持 雛

どれほどに僕らは
沈黙に殺されてきたのだろう
スモークをかけられた
世界は灰色をしている
 
合理的に生きていくために
必要なものは
ほんの少しで
当たり前へと変形
 
気付かないふりは
思ったより難しく
狂ったピエロみたいね と
誰かが笑った
 
どれほどに僕らは
言葉に堪えてきたのだろう
濁った色をしている世界は
何も見せてはくれない
 
創造された語は
意味もなく漂う
影になって
こびりつく
 
傷付かないふりは
思ったより難しく
大人になりきれない僕らを
誰かが笑った
 


自由詩 モラトリアム Copyright 倉持 雛 2008-11-04 16:19:46
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