友だちは散らばり続ける
熊野とろろ


友だちは散らばり続ける
俺がこうやって
部屋で立ち読みをしている間に
日本中に散らばっていく
俺がこうやって
コンタクトレンズを装着している間に
もうブエノスアイリスだ
 
友だちはいつも散らばり続ける
昨日まで群れをなして
管を巻いていた友だちは
すでに散らばった
本土にいるならまだしも
もうヘルシンキか
アムステルダムか
どこであれ
散らばっていくことに
違いはないのだから
 
友だちは散らばり続ける
明日だって
友だちは散らばり続ける

未来永劫
繋がらない
道が 
時折、交錯する
その瞬間に
散らばった魂が
スパークする
その輝き
また刻み付けるだろう
しかし一度瞬きをすれば
また
友だちは散らばり始める
それを
友だちはよく知っている



自由詩 友だちは散らばり続ける Copyright 熊野とろろ 2008-10-31 23:47:17
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