呼淵
木立 悟





百年の花が咲く
音だけの虹
昇る夕べ


鳴る穂を抱く
水の穂
指の穂


おまえを
おまえに与えられずに
叫びつづけた 水に映した


明るい貝殻
問いかける色
数を照らす


光は傷む
羽に生える羽
曲がり角を曲がりきれずに


波のように 人のように
砕けては立ち
うたいはじめる


滴が滴に至る径
河が穂を聴く
一度 ふりかえる


水から水へ
けして花ではないものの
次の百年が香りはじめる


手から海が落ち
浪になり凪になり
呼ぶものへ呼ぶものへ到いてゆく
















自由詩 呼淵 Copyright 木立 悟 2008-10-31 17:27:00
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