おかえり
ヨルノテガム







あなたを忘れたかった
あなたはヨルノテガム
苦しい昨日の夕暮れの名は、
悪者のいない 味方の集まらない
必殺技をあみ出せないわたしのヒーロー。
初めて鼻血を出したのは
サザエさんの漫画を見ていた土曜の午後。

ヨルノさんは旅に出ました
終電前には帰ってきました この意気地なし。
秋空に 冬の文字を描いて
雪の音がこの頭上にふーわふわ漂っています
痔なおりましたか? ヨルノさん
ギャンブル勝ちましたか?
そうですか そうですよね

あなたを抱き締めたかった
あなたは調子に乗りやすいからダンスでも他人より
多く回って頭の中を駆け抜けてった
間が持たないから 紳士のように
フケが多いから 名探偵のフリをして
それより
働け、この馬鹿! トンチキチン
愛を眺めるな 負けに行け

夜を抱き締めると泡のような心地
水のような骨が詰まっている がらんどうの中に
それはみじめな感じだったので手紙を中に残し置く

 ヨルノテガムは観覧車に乗っている
 二周目も降りずに観覧車に
 三周目は係員が見逃して
 四周目は電飾に化けて
 五周目は閉店時間で止まり固まった
 ヨルノさんその観覧車水没しますよ
 平泳ぎできますよね?
 夜は水車として稼動するんですから
 空に雨を運ばなくちゃいけないでしょう ほら、
 ヨルノさん空にいっちゃダメですよ、雲に
 マズイって吐き出されますよ 
 ヨルノさん わたしの海に落ちてきて下さい
 塩分ひかえめな海の中へ落ち込んで下さい
 パイオツもコーマンも用意してますから
 あと あなたの苦しんでいる顔を見つめる目も
 用意できていますから、夕日。
 
 まぶしいですね











自由詩 おかえり Copyright ヨルノテガム 2008-10-29 01:23:57
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