さなぎの夢
伊那 果

 いとも簡単に
 超えていけそうな気がして
 窓の枠に手をかけた

 ぐらりと揺れた鉄格子
 そのもろさゆえに
 私は閉じ込められたままだ

 どの国へ行っても
 自由、という言葉はあるのだろうか?

 ほどけていく
 ほどいていく
 繭の中
 現れる
 純白の
 空白

 自由は
 小さなぬくもりの中にあって
 さなぎは外に出る日を
 待ち望んでいる

 空白を出たら
 たくさんの無意味が付与されて
 もう本当には飛べなくなるのだよ


自由詩 さなぎの夢 Copyright 伊那 果 2008-10-26 17:08:15
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