青いキリン
ようちゃん

おそらく
だれもなんら関係のない所に
夜のキリンは住んでいる。

林の隙間から
青い光がぽっともれるのをみて
月が恋しいとなく
センチで風変わりなキリン。

恋しいと鳴いているうちに
体まで青くなったキリン
月明かりが
夜の色をキリンに照らしていたせいだろう、
奴は黄と茶の水玉模様を失った。

声も細くて
遠くまで響くようになった
あのだみ声が嘘のように
今は風のこだまとなって雪原を響く

月にはとどかないがね。

奴はさながら歌っているようさ
妖精のように

時折
馴鹿を追いかけるエスキモーが
奴に出くわして驚くのさ

いや、
正確には影を見るだけなんだがね
奴の細くて長い足が
隙間風のふくタイガを抜ける時
そいつの影が
まるで木のようで、
雪の彼方からみると
林が動いているように見えるんだね

笑っちまうよ
奴なのに

奴はオーロラにため息をついて
永久に続く雪原の彼方をみつめて
浸っているだけ

そういうのが好きなんだ
変わった奴だから

あいつはアフリカ生まれなんだけど、
いつの間にかやってきて
いつの間にか溶け込んじまった

とくに何もないっていうのが
やつのお気に入りらしい

変なキリンよ
いつまでもいるんだろうね
いつまでもいろよ


自由詩 青いキリン Copyright ようちゃん 2008-10-26 06:40:44
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