収集日の朝
伊月りさ

彼の母親になって
宙吊りの栄光を愛撫していると
日曜日が死んでいた

月曜日は可燃ごみだから
きみの生活を袋に詰める
捨てられていた
卵でわたしは調理をしたけれど
殻に溜まった水が腐っている
殻に溜まった水は小手先の愛情を見破って臭っている
この生活の副産物は乱暴で
彼女はすべてを吐いた
吐いて
しまいたい

赤とんぼが呼んでいる
言葉を封じられた童謡は
きみの生活を
つまり
わたしの生活を
廃棄する第一段階の合図
今朝もこの街中には飛び交って
彼らの
生活を回収している
生活は幸せだ
生活が産み落とした卵は無造作にティッシュペーパーにくるまれて
生活の臭いは抑えきれずに しかし、なにをも生み出さない
生活が幸せなのは、有精卵が宇宙ではないからだ

母親はきみを産んでいないが
その展開図の隅々にまでキスをして証明をする
愛 は
重石は
吐き気を抑えられないのは
これは愛でないということだろうか
宙吊りになっていた栄光を
噛み切らずに愛撫を続ける
わたしはきみを裏切るだろうか
これはおままごとだろうか
わたしたちは子どもだから

赤とんぼが呼んでいる
秋だからではないのだ
どんな夢のなかにも侵入する
七つの曜日はあまりに接合していて隠れる場所がない
けれど 彼らは大人だから
かくれんぼは諦めている
けれど

ああ
夕焼けの朝には慣れてきたけれど
わたしは母親になれない
わたしは どうしても
彼の栄光を切り落として、捨てたい


自由詩 収集日の朝 Copyright 伊月りさ 2008-10-23 00:46:21
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