悲しいかな
寺岡純広

悲しいかな
何もできずに生きている

悲しいかな
何もできずに死んでいく

無差別殺人、食品偽装、振り込め詐欺、世界的金融危機、しのびよる世界恐慌
毎日、こんなニュースばかりだ

自分もいつ、その渦中に巻き込まれるかも知れない

死ぬのは少しも怖くない

ただ自分らしさを見失い、虚ろになったまま生きていくのは耐え難い

いま自分がどこへ流されていくか、分水嶺に立っている

既に多くの夢、希望、大切なものを失いあるいは捨ててきた
もう自分は何も持たない

ただここに一つだけ、心の片隅に灯火が芽生えている

それは、ほとんどすべてを失った後に、君という世界でたった1人の理解者、友そして恋人を得たこと

君と一緒なら、これまでの悲しみは消え去り、新たな喜びを発見していけるかも知れない

何もできなくとも、生きるテーマ、小さなテーマを定め、守っていけたらそれで良い

そうしていくことが、ささやかでもしっかりとした幸せにきっと繋がっていく

人生の秋はこれから、まだ冬も残されている

悲しんでばかりいられない




自由詩 悲しいかな Copyright 寺岡純広 2008-10-20 18:09:15
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