四属は重ね着
黒川排除 (oldsoup)

降り出しにうずくまる背を滴る石

姫が繊細なこころを殴っておしまいにする

ビル食う 草の巨人 林業はさぞかし

火の元に花咲き火の粉が列なす河

泡雪崩平野で拮抗する海女へ

叔父半身窓から反らし弦を張れと言う

幾重に星を重ね光彩の余剰に球飛ぶ

金輪際誰も通らぬ道路の電柱

想念おそらくは百貨店のモーター音

迫害の麩を転がすもし隣人なら

境界線で軋む枕芽吹きの憂き目に遭い

炸薬踏む足に前世迸る痣

野隠しに砕けた絵画散りばめる

夜をゆすぐ荷を震わせ白い布切れ

口笛鋭くハム裂く望郷とは無縁

煩雑それは死それは手ぐすね木桶に転ぶ

奇声を天に衝く鳥落ちては避雷者と散る

水草揺られ際で擦る喉元の像

切っ先またせり上がりずいと茶の沸騰

螺旋階段降り無音螺子が落ちるまで


川柳 四属は重ね着 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2008-10-18 02:30:21
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