僕の天使
AKiHiCo
羽根を汚した天使が
苦悶の表情で此方を見ている
汗に混じる紅は
幾千もの痛みを受けた証
滴る鮮血を飲み干して
どうか僕だけの天使にしてあげる
十字を掲げた女神の許に
祈りを捧げる無垢な心が
踏み躙られてしまう
穢れる前に穢れる前に
その眼に恐怖が宿る前に
真白な羽根が虚空を彷徨って
死への路への誘いを抗う姿
睫に刺さる真珠が閃いて散る瞬間
御霊の割れる音の響きに酔った
なんて美しい天使なのだろう
伸ばした腕が虚空を掴む前に
僕が抱き寄せてあげる
生が奪われてゆく体躯は
緩やかに撓り
激しく脈打って砕けそうになる
舞う羽根の舞踏曲は
死への彩りか或は悲壮の宴か
羽根を赤く染め上げた天使の
唇が僅かに動く
「 」
美しい姿の目の前に居る仔
どうか僕だけの天使にしてあげる
羽根を持つ者がゆっくりと
力なく地面に伏せたら
其処に花を手向けてあげるから
生とは失う為にある