屍の私
大木円盤

問題に答えると
答えから問題が生まれる

右ですか?左ですか?

右へ進んでみれば左が
正解のように思えるし
仮に右が正解であり
正解を歩んでゆく自分が
生まれれば どこからか
別の自分がその選択を
冷ややかな目で
見ているのだ

幾度か
選択の正解と思しき
世界の想像を試みる

あたかも尊い聖者のような
面構えで至福の時を食し
多くの民に祝福されている
私の雛形

私を取り巻く世界の臭気に
違和感を覚える

においがないのだ
味がないのだ
温度がないのだ

正解の無い世界に
翻弄されつつも
尚も生きながらえる
屍の私


自由詩 屍の私 Copyright 大木円盤 2008-10-15 18:35:20
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