生き抜くために死んでいる/きんいろの森/きんいろの波
石田 圭太
ふたしかな水を生きて
行方のどこにも底がない
くうかんを蹴りあげて
足音を確かめる
ひかりは、
柔らかくかげを踏んで
どこか遠い国になった。
水
どこまでも水。
ぼく達は
はじまる時に発光して
それが最初で最後だから
盲目のさかな
覚えている
幾つかのことがら
たくさんの種を
植える場所がなくておそろしい。
水
どこまでも水。
砂はうそで
歩くことがむずかしい
なみだは溶けてあてにならない
音は上手にはぐれていく
終わればほねはどこにいくのか
からだ中でまばたきをして
肌におさめる
戻る必要のないように
どこかでたましいが
おだやかに発光をはじめる
うまれるまでのぜつぼうが
ほそながく
くうかんを切り解いて
頭からまんなかに押しながす
いのちが水を弾き、
弾いた水にひかりがうつる
拡がる波紋
うみだされる無数のひかり
ぼく達はイメージができる
まるくおおきくせかいのことを
思い出して蹴りあげる
盲目のさかな
きんいろの森、きんいろの波
美しいひかりの魚群