河口
HTNYSHR

川の終わる街、海の始まる街
埋め立て地の煙突は
今はもう消えた海水浴客の嬌声を響かせながら
夏の日にゆらめいている
コーンスターチのむせ返るような匂いは
街の健康的な精神の象徴として
寛容なこの街の空に染み込んでいる
満ち潮の終わり、引き潮の始まり
濡れた砂が浜に取り残されて
海は反省を示すかのように大人しくなる
潮水の溜まった穴からは小さな蟹が顔を出す
むき出しの泥の中には
茶色い瓶の破片がきらめいている
満ち潮の始まり、引き潮の終わり
ゆっくりとした混乱
陸に残された舟が海に帰る時流された砂が戻される
対岸は思ったよりも遠く
この川はいつも向こう側を思わせる
それでもまだ何も始まっていないし、終わってもいないのだ


自由詩 河口 Copyright HTNYSHR 2008-10-13 20:59:00
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