ひとつ 夜へ
木立 悟
曇と灰針
水の卵
暮れ無く暮れて
音は振り向く
投網のような鳥の群れ
共鳴の錆が降り
地に触れてむらさき
足跡の熱を吸い
無音をもとめ
発光する
草の丘
雪の丘
変わらず丘にあるかたちから
夜へ夜へそよぎ出すもの
四つの辺の 四つの色
雪原に
傾いでいる
怖れのように 流れのように
樹は
震えている
みな落ちて なお
呼びつづける声
空には
月以外
無くなる
手のひらの上を
すぎる楽隊
光はひとつ
砂の影を呑む
砂の影を跳ぶ
自由詩
ひとつ 夜へ
Copyright
木立 悟
2008-10-13 08:49:21