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カフカ

君はいつもありとあらゆる隙間という隙間にいて
ひっそりと身を潜め、何か考え事をしていた
今日も朝食のパンを食べていると、冷蔵庫の横にある僅かな隙間にひっそりと存在していた
「おはよう、朝ごはんはもう食べたの?」と聞いてみた
しばらくの沈黙の後、「ううん、これから食べようと思っていた所」と君の声が冷蔵庫の隙間に染み込んだ暗闇から聞こえてきた
そう、ちょうどよかった
今から作るねと言って
フライパンに油を注ぎ火を点し目玉焼きを作って食パンの上にのせた
「ここに置いとくから、適当に食べてね」
冷蔵庫の隙間からはもの音ひとつしなかった
また何か考え事をしていたのだろうと思いそれ以上はなにも言わなかった
洗面所で顔を洗い、歯を磨いてパンをちゃんと食べたかどうか見てみると
パンの耳だけ残して綺麗に食べていた
隙間にはもう誰もいなかった
きっと、食パンの耳と宇宙の定数についつて考えていたのだろう


自由詩 4 Copyright カフカ 2008-10-12 22:47:46
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