雨の音
星月冬灯


 ぽつぽつと木の葉に落ちる雨の雫よ

 誰が泣いているのか


 天神か

 窓辺に寄り添う乙女か


 そんなにわたしが憎いのか

 そんなにわたしが許せぬのか


 どんなにその美しき涙を流そうとも

 なにも、わたしは変わらぬ


 ああ

 泣かないでおくれ

 詩(うた)をうたうから

 営みを愛するから


 歓びの雨となるまで

 その眼(まなこ)でわたしを見よ

 その眼でわたしを満たせ


 ああ

 この全身をその御(おん)雨で

 流してくれればどんなにいいことか

 
 ああ

 泣かないで


 わたしはわたしを愛するよう

 勤めるから


 いつの日か

 自分を誇りに思えるように

 働くから


 雨よ

 天の雫よ


 わたしの穢れを総て流し

 生命(いのち)の煌きを浴びせておくれ


 ああ雨よ



自由詩 雨の音 Copyright 星月冬灯 2008-10-11 12:52:38
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