創書日和「声」 声
北野つづみ
少し甲高い おさないその声を
目を細めて 懐かしむ人がいて
はじめて
失われることに気づく
風はとどめてはおけないから
目を細めて 懐かしむ人に
自分を重ね 手を重ね
それでも 吹いていきなさい と
だれもがみな云うだろう
脱ぎ捨てられた服をきれいにたたんで
箪笥に仕舞っておくように
心に記録する波 は
明るく澄んだかたち
きみはきっと気づかない
目を細めて 懐かしむ人に
きみ自身が
出会うまで
二〇〇八年十月八日
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