夜の音
北野つづみ

カチリと電気を消す音
布団を直す音
眠れないと
体をもぞもぞさせていた子どもも
やがては静かになって
規則正しい呼吸の音がひとつ
それが夜の音

冷蔵庫は低くうなる
時計の音は少し間延びする
ぶるるん
ふいに表通りを車が通り過ぎ遠ざかる
残されたのは私の心臓の音ひとつ
それも夜の音

 かみさま
 わたしはこれからねむりにつきます
 わたしがねむっているときにも
 どうかあなたがそばにいて
 わたしをまもってください

月の光が降ってくる音
星が瞬く音
眠っている庭の樹々の健やかな呼吸
花も昆虫も眼を閉じ
静寂のなか
たくさんの祈りが今ひとつに結ばれる
ことり とすべてを預け丸くなれば
どこからか潮騒
夜の音が
満ちてくる


2008.8.20


自由詩 夜の音 Copyright 北野つづみ 2008-10-07 13:22:32
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