帰路
umineko

斜面を切り分けて
父の家が建つ
小さな

直方体を
重ねただけの
たぶん
遠い質量の

かたちのないたましいを
とどめおくために

ほっとした表情で
母は告げる
これで
私たちも大丈夫

私たちも?

そうか
そうだよね
自分も帰るのか

この
退屈な風景を
見下ろしながら眠るのか

もう一度
あなたに逢いに行こうと思う

何かを
確かめるために

貨物列車の
遠い汽笛を

私の中に聞くために
 
 
 



自由詩 帰路 Copyright umineko 2008-10-06 08:08:51
notebook Home