引越し
かんな

買っておいたパンの消費期限が
朝の五時だったので
とにかくも早起きをして
そのパンを食べないといけないと
思ったのだ
そんな朝に
荷造りを終えると
ダンボール五箱と衣類ケース四個
収まったのはなんだか
人生を詰め込んだわけでもないのに
生活することは
案外ちいさくて
わたしを必要としているものも
それだけちいさかったらどうしようと
ひとつため息、ついてなんていられなくて
もう何もない部屋でおもう
大切にするべきであった家族や
育ってきた過去について
ふりむくまもなく過ぎてきた
とふり返る
そんな朝に
消費期限が切れなくて良かった
とひと切れ、パンをほうばる



自由詩 引越し Copyright かんな 2008-10-05 05:56:11
notebook Home 戻る  過去 未来