セキタ



校門をくぐると
木陰から日差しがぽろぽろとこぼれた
私は音楽になり
あなたの姿を世界に探すの
風が吹いて、跳ねる様に走り出して
天にも届くように
歌を歌った

  ※

あなたの姿に
ぼんやりと世界は白く光った
あまりにも遠く
どんな顔をしていたのか
どんな歌が風化したのか
僕には聞こえない
触れようとすると壊れてしまうようで
でも歌だけは
歌った

  ※

あなたの笑顔が滞らないように
帰る家と愛してくれる人が傍にいてくれるように
今よりももっと星が美しく
今よりももっと海が深く薫り
今よりももっともっと
あなたの為に世界がありますように
あなたが愛するやさしい歌が
ありますように

  ※

この世界からいなくなってしまった人も
まだこの世界に生まれてきていない人も
歌にいる
歌のどこかで愛を願っている

手をつなごう
あなたと手をつなごう
あなたと歌を歌おう

  ※

若者が校門から出てきて
木陰から日差しがぽろぽろとこぼれた
大声で歌を歌う

もちろん僕の耳を通り抜けて
それは

空に風化したような
気がした










自由詩Copyright セキタ 2008-10-05 02:27:14
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