冬の華
餅月兎

コートの襟を合わせ 冷たい風の中
細い背中が 小さくなってゆく

あの歳まで 独りきり
もてない女じゃ ないのだが
どうして独りで いるのかと
問う男はいなかったのか

俯き加減の その人は
知らないのだろう あなたの事を

冬の華 唯 一輪

何の因果か 気付いてしまった
知っているつもりです あなたよりも

挨拶だけの 細い細い糸
手繰る手立ては ないものか

今日こそ声を 掛けようと決めたのに
見送ってしまった 少女の面影残る横顔

ぐらぐらする足下誤魔化す お道化た仕草で
結局今日も あなたの前で
自意識過剰の幼児 身を硬くして

これを駄々と 謂うのでしょうか
冷たい風が 運んできます
二度目の冬 越後の冬に
あなたを守る 盾になりたくて


自由詩 冬の華 Copyright 餅月兎 2008-10-03 21:46:44
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