赤児と緑児
小川 葉

 
ぶるぶるとふるえてる
風もないのに
双葉のような腕を
ふるわせて

僕の息子だ
それはまるで捨てられたように
道端に生える雑草と
何がちがうというのだ

それが僕の息子であることは
間違いがないらしい
ぶるぶるとふるえたのは
父のほうだった

くだをとおる
血液が赤ならば
ふるえる手首のこの未熟さは
いったいどんな色なのだ

褐色の古い写真の
太い腕に抱かれてる
双葉のような腕に巻かれて
父は僕を抱いた
記憶になる
 


自由詩 赤児と緑児 Copyright 小川 葉 2008-10-02 00:51:54
notebook Home 戻る  過去 未来