夜、出歩くものたち
佐々宝砂

太陽に照らされた状態は、
ほんとのところとても特異な状態だ。
宇宙はだいたいが夜だ。
ぐるりめぐる暗い側の半球にしがみつくぼくたち、
特異な場所に放り出されたフヘンの孤児、
みんな違っていて、
誰もが似たようなもので、
不似合いなジャックォウランタン下げて、
お菓子をさがして、
夜を歩く。
太陽が光るときにはみえない、
遠い遠い星たち、
まああの星たちもまた太陽の一種だが、
あの星たちはここの太陽ほど暴虐ではない。
しっとり露に濡れた草、
微風、
並んで光るふたつの緑、
友の眼、
人ではないかもしれないがとにかく友の眼、
ぐるりめぐる闇の半球にまたたく、
幽かなまなざし、
夜を歩こう、
夜を、
わが友よ。


自由詩 夜、出歩くものたち Copyright 佐々宝砂 2008-10-01 00:00:13
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