夜、出歩くものたち
佐々宝砂
太陽に照らされた状態は、
ほんとのところとても特異な状態だ。
宇宙はだいたいが夜だ。
ぐるりめぐる暗い側の半球にしがみつくぼくたち、
特異な場所に放り出されたフヘンの孤児、
みんな違っていて、
誰もが似たようなもので、
不似合いなジャックォウランタン下げて、
お菓子をさがして、
夜を歩く。
太陽が光るときにはみえない、
遠い遠い星たち、
まああの星たちもまた太陽の一種だが、
あの星たちはここの太陽ほど暴虐ではない。
しっとり露に濡れた草、
微風、
並んで光るふたつの緑、
友の眼、
人ではないかもしれないがとにかく友の眼、
ぐるりめぐる闇の半球にまたたく、
幽かなまなざし、
夜を歩こう、
夜を、
わが友よ。
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創書日和、過去。