虫
yo-yo
妹が泣いていた
だいじなオルゴールの中に
嫌いな虫が隠れているという
ふたを開けると
ときどき
キロロンと虫が鳴く
きれいな音のでる
オルゴールの不思議なピンを
折ってしまったのはぼくなのだ
妹はそれを知らない
いっぱい
だいじなものを壊した
父の万年筆とカメラ
母のネックレスと手鏡
おじの釣竿とバイク
好きなものが
壊れるように
父は眠り
おじは消えた
母は歩行器がないと歩けない
この秋
母親になって妹は
はじめて
虫の声を聞いている
自由詩
虫
Copyright
yo-yo
2008-09-30 06:24:53
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