独走
伊月りさ

たったいま完成した
きみの思考の円錐
てっぺんからひん曲げて打ち崩したいから強く
強い骨をつくるために
わたしは泥臭い牛乳を飲もうと思った
信じられないほど白い液体
きみを信じられないと思った

長針は短針しか知らないからその尻を追っているだけなのに
そんなものに象られている今日を
わたしはててて、と歩いて
そこにはきみがいるので踏みしめて
いて
その一呼吸が誤差ならば
もうどうでもいいのだ、と
牛乳は暴走
わたしの喉をごくり、
決壊
胃を破る
直進が不向きなわたしの
大腸を押し広げて
意地になれば足は甚だもつれるが
こぶしは必ずきみを
押し潰す
絞る
垂れる液体が
左右抜ける風に乾かされる前に
わたしが舐めとってやる

こうしたもろもろのイメージが走り回るときに
煙草が欲しくなることについて
その青臭さを殴り飛ばしたら
もうきっと
きみとはどこにも行かれないのだろう、と
イメージを走らせる
わたしは
いき場のない
わたしを嘲笑えばいい


自由詩 独走 Copyright 伊月りさ 2008-09-26 08:08:48
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