旅の、あなた
rabbitfighter
ラピスラズリは、青い。
惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。
時々、水脈を聞く。
明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない場所で。
生き物の群れ。
森はそう、一切が生きたものの証。
土も。風さえも生きていることに没頭する。
灰。
降り積もり、折り重なり。
あるものは土に。あるものは岩に。
あなたがくしゃみをすると、僕は風邪を引いてしまう。
あなたが目を閉じると、僕は静かに眠ることができる。
雨はいつまでも降り続け、景色の中にあなたを置き去りにする。
私の中に夕立がある。
不意に晴れて、洗われた景色の中、日差しがあなたの上に留まろうとして柔らかい。
優しい愛撫を、あなたに。その指の、記憶を、ピアノを、
あらゆる方向に砕け散るひかりを、あなたを連れ去ってしまう夕暮れの薄闇を、
また別の物語を生きようとする、あなたや私によく似たいきものが懐かしむ。
この星は青に満ちている。
始まりと終わりに燃えながら、また青から青へ。いくつもの青へ。
この静けさを、真夜中の青を、そこは砂漠、生き物たちの廃墟。
旅のあなたよ、月を見上げているか。