はぐる、ま
ねことら
かたん。
わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅していて、美しい蛍のように見えた。わるい部分だけ、はずされていくので、なんだか残念な気持ちになった。
ことん。
透明度の高い水銀のみずうみをのぞきこむと、底の方にはたくさんの遺体が腐食してしずんでいて、燐粉をちらしてわずかに発光している。その、ゆれるようなともしびにさそわれて、今夜もまた、はだかのまま、ふかくからだはしずめられてゆく。
かたん。
かみなりのように足早にきりつけられたわたしの感性が、ゆれてピンク色にひかっている。たいせつにだきしめることができなくて、すこしずつ、腐食していく。それを、だまってみている。どうすることもできない。
はぐる、ま
なめらかにくりかえされる回転、わたしは、
ゆっくりとわたしからはがされる
なまえをもたない感情が、あたたかな感触をともなって
この場所にとうめいな色をつけていった
(ハロー、きっと伝えたいものがあったよ
そっと静けさはこだま、していく
ことん。
かたん。