はぐる、ま
ねことら

かたん。




わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅していて、美しい蛍のように見えた。わるい部分だけ、はずされていくので、なんだか残念な気持ちになった。




ことん。




透明度の高い水銀のみずうみをのぞきこむと、底の方にはたくさんの遺体が腐食してしずんでいて、燐粉をちらしてわずかに発光している。その、ゆれるようなともしびにさそわれて、今夜もまた、はだかのまま、ふかくからだはしずめられてゆく。




かたん。




かみなりのように足早にきりつけられたわたしの感性が、ゆれてピンク色にひかっている。たいせつにだきしめることができなくて、すこしずつ、腐食していく。それを、だまってみている。どうすることもできない。





はぐる、ま





なめらかにくりかえされる回転、わたしは、
ゆっくりとわたしからはがされる
なまえをもたない感情が、あたたかな感触をともなって
この場所にとうめいな色をつけていった





(ハロー、きっと伝えたいものがあったよ






そっと静けさはこだま、していく






ことん。





かたん。











自由詩 はぐる、ま Copyright ねことら 2008-09-23 22:31:49
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