ばいばい、てんし
ねことら


ゆうぐれをあびると
くびすじから、すこし
てんしのにおいが
する
だから もういちどだけ
とべる



きみも ぼくも
もう もどってこれない
こくばんに
らくがきしたかっただけさ
「ばいばい、てんし」
ゆうひがきらめいて
とうめいな がらすざいくみたいに
きょうしつは すみきっている



ついやされたもの
つちかわれたもの
やせたからだのなかで 
ひかりだけ ながれるふたり
そうさ ととのったかおだちの、てんし 
ふいに くちびるをうばおうとする
そのしぐさや においが
なんとなく いまも
むねを きりつけるんだ



くだけた ゆうひのあかいろ
ひろいあつめながら
あけがたにそっと はなす
やさしい あそび
かしおぺあ、そんなとおいところで
ぼくたちはくらすことが
できた



ゆうぐれをあびると
くびすじから、すこし
てんしのにおいが
する
もういちどだけ
ばいばい、てんし
まぶしくて きみの
よこがおだけが
みえない







自由詩 ばいばい、てんし Copyright ねことら 2008-09-21 09:59:58
notebook Home 戻る