あなたの紙飛行機
K・フラグメント

あなたがなげた 紙飛行機。
十一月の 校庭で、
ふわりと浮いた 魔法みたいに。 
飛べ! そうあなたが命じると、
あっというまに クスノキの、
いちばん上の 枝より高く、
もっと高く 舞い上がった。
飛んだ!と わたしが叫んだら、
上昇気流だ!と あなたは答えた。
めまいがした 真っ白な曇り空。

信じられない あんなに高く!
わたしのノートで あなたが折ったのよ。

名無し鳥が横を かすめてったのに、
あなたの飛行機 けだるい輪を描いてた。
それがおかしくって おかしくって、
涙が出るほど 二人は笑った、
チャイムが鳴って 教室に戻るときも、
紙飛行機は まだ空にぐずっていた。
だからあなたは からかって、
あの飛行機に わたしと同じ名前をつけた。


自由詩 あなたの紙飛行機 Copyright K・フラグメント 2008-09-16 11:10:38
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