九月炉
黒川排除 (oldsoup)

のちの世に現る大つむじへ遷都

空洞に発律した胸開く響き

絞め終えた腕青紫まだ蕾

円盤消ゆ数年後の同じ景色へ

生命に結ぶ糸縦穴に垂らす

白夜の森に吊られたくす玉鈍く映る

バラ売って轢かれる多重交差点

未亡人の夫間近に嗤いに来る

ガラス多く立つ光を通さんがため

鳴く缶ひとりでにへこみ港へ着く風

積んであったというビー玉迷いの数だけある

岩陰にせり上がる岩互いを射す

ビニール片吹き出す溝のない町

手から容器にインク移す膝と土汚し

寝る少年の足吊る紐の長さも少年

河となる縄滲むまで続く雨

すこしやすむすなやむすなやますますむすめ

逆光の糸散る祭礼夕濁り

竜巻吐く自分が遠くにいる鏡

一睡も斜視に塗れて虎燻る


川柳 九月炉 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2008-09-15 14:54:25
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