ライク/あ、神への祈り
atsuchan69

幽かに残された血の色が、
うっすらと赤く滲んだ )))
香ばしく焼けた肉の塊りを
荒々しく丸ごと無造作に載せ、
じゃが芋と人参のグラッセで飾った
輝く、銀のオーバルトレー

猥(みだ)りに高い、
吹抜けの天井から鎖を垂らし
延々と吊るされた幾つものシャンデリア
その華やかな燭光に染まる、
――晩餐。

父とともに祈る
武器商人の家族らの
日ごとの糧であるブールを
清楚な指で引き裂き、
日毎の罪を
今日もお許しください

すべての咎を、
十字架の彼一人に背負わせ
どうか今夜も
私たちに心の安らぎがありますように


     ※


私たちは今日、
ピカピカに磨かれた靴を履いて
腐臭漂うにぎやかな市場の
黄色い土埃の雑踏を歩きました

明日も、未開人たちへ
甘い幻想と引換えに きっと、
武器や薬を売りつけます
馬鹿ゝしいくらいに素直な土人の女
文盲無知な不潔な子供たちをも
さも善良な教徒を装って
さらに、さらに騙しつづけます

――エーメン!

今、此処に
ささやかな夜の平安があるがごとく
脂肪酸オメガ3、
およびオメガ6の不足。

性的虐待やクラミジアの感染と、
錆びた注射針によってもたらされた
免疫機能の恐るべき低下、
たぶんエイズと思しき症状。
アレルギー疾患による
全身性紅斑の酷くかゆい炎症等
様々な問題は在るものの

そう、ここはアジアの何処か・・・・

非道な人身売買を行なう
この貧しい村では
たった今、
急速な勢いで
パソコンが普及しています

いつか、たなびく雲の夕暮れに
広大な畑の一部を占拠した
兵士達のための慰安、ロックコンサート
幾つもの投光機へ電源を供給する
大型バッテリー車が薄闇に到着する

 (ライク/あ、神への祈り)

ただ理由もわからなく
逃げるより他ない、叫び!

トゥーマッチ・ヘビーな弦の高鳴り
サンダーバード?のハムバッカーから伝わる
とてつもない野外PAシステムの
真空管式ノイズが鳴り響き

大切な【あの人】との約束を――
まるで簡単に裏切るみたいな、
純朴な歓びが既に失われた
流血の死を待つ人らの
ひどく奢り高ぶった 奇声。

優しさの微塵もない、
冷たい瞳とともに

やがて誰もが何も感じなくなる


     ※


黄褐色の野蛮人が叫ぶ、

 アヘンを栽培して何が悪い
 資源も何もない
 貧者である我々が、
 生きるための
 たった唯一の手段ではないか!

すると武器商人は頷き、
俄かに北叟(ほくそ)笑んで言った――

どうか格安な突撃銃を買って
自由な精神とともに武装しなさい。
総ては、あなたの家族を守るため
愛する人たちの為なのです

――ゴッド・ブレス・ユウ!

貧しき者たちよ、
今日を生延びるために
カラシニコフを買いなさい、
そして街の銀行へ行け
金なら唸るほどある

ただし、銃の購入は一生涯のローンだ


     ※


アレは前世紀を境に・・・・
いや、もうどうでもいい。

慥(たし)かその頃、
封鎖された東ドイツで
まさか白昼、
ベルリンの壁が崩れたのと同時に
さらに中国でも
幾つかのことがあった。

が、それらのことは
ハイパーネットワークによる
国際金融の再構築をも含めて、
 (未だ)
ほんの小さな始まりに・・・・

( す ぎ な か っ た )





※拙いながら、この詩(?)を砂木女史・・・・ミューズである「姐御」に奉げます。








自由詩 ライク/あ、神への祈り Copyright atsuchan69 2008-09-14 15:13:14
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