童話(手紙)
たもつ
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました
そして、その足で公園に行き
陽のあたらないところに魚を埋めました
魚の言葉を知らないので
少年は少年の知っている
一番簡単な弔いの言葉を添えました
風が吹いてほんの少し
海水浴のような匂いがしました
帰り道、魚屋の前を通りましたが
並べられていたのは
さっきのとは違う形の魚ばかりでした
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