遡航(即興習作
あおば


               080910


夾竹桃に絆されて
ここまで来たのです
行きたい場所に
連れて行ってやると
いわれ続けて50年
もうこれ以上登れない
階段の先を眺めては
恨めしさを募らせて
堅くなっていく心の中に
諦めようかという気も
漂ってきて
夾竹桃が咲いたのを
たっぷり眺めたのだから
もうこれ以上無理することない
下山することにしよう
だれかの声が呟いて
重たいバツクを担ぎ上げ
8合目を後にする
もうじき昼になり
頂上は
荒れてくるはずだから
引き返すには
良い頃合いだったと
5合目の駐車場の
バス停のベンチに腰掛けて
山の上部が見えないままに
発車の時刻を目で確かめた



自由詩 遡航(即興習作 Copyright あおば 2008-09-10 23:04:14
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