病床おじいちゃん
ゆうさく

重苦しい空気、が
ベッドからはじけて
おじいちゃんの全身、に、
ふりそそぎます
 
点滴、天敵、
内出血で、腕が、
ぜんぶまっかっかが
ぎゅるりと
ぼくのあたまをまわって
いとおしいのです
 
なおらんのか
治らんのか
なあ、おらんのか
どっちにしたって
無言だよ、だよ
 
途切れる病室
しろく、あおく、
それが、
たまらず無呼吸です 
ちらほら、
ちら、ほら、
蝉時雨が
さんざめく
 
いつかのあなたに
おんぶされた、
わたしです
 
ぼくの
「あいしてる」、が
ベッドからこぼれて
 
なつが、おわったのです


自由詩 病床おじいちゃん Copyright ゆうさく 2008-09-10 21:31:06
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