本とマチルダ
nm6
ハロー、マチルダ
カビ臭さが紙の匂いだと思っていた古本の
ひさしぶりに太陽とすずしさの午後
公園では、抱えた小脇に
ひとつ大きななにかが終わるのを願っている青年と
ぼくが彼女に薦められた物語に酔いながら
ビールにも酔いながら
「明日は、どうしようか」と話しながら過ぎていく誰かを
衰えて崩れゆくのを待っている
うたかたの横目に
*
ハロー、マチルダ
図書館へ繰り出そう
(パンチは、足りない)
(だけど)
*
すべての花が合図で枯れていくほどの大きな力で
地球ごと過ぎていく誰かに
焼き直して3回転半した音楽に嘔吐しながら
ギフト、生きていくだけのぼくたちに
ひさしぶりに太陽とすずしさの午後
ハロー、マチルダ
ハロー、マチルダ
公園では、抱えた小脇に
ひとつ大きななにかが終わるのを願っている青年の
たいそうな記憶がつぶれたまま夢をかすめとっていく
自由詩
本とマチルダ
Copyright
nm6
2008-09-10 02:10:49
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