本とマチルダ
nm6

ハロー、マチルダ
カビ臭さが紙の匂いだと思っていた古本の
ひさしぶりに太陽とすずしさの午後
公園では、抱えた小脇に
ひとつ大きななにかが終わるのを願っている青年と
ぼくが彼女に薦められた物語に酔いながら
ビールにも酔いながら
「明日は、どうしようか」と話しながら過ぎていく誰かを
衰えて崩れゆくのを待っている
うたかたの横目に



ハロー、マチルダ
図書館へ繰り出そう
(パンチは、足りない)

(だけど)



すべての花が合図で枯れていくほどの大きな力で
地球ごと過ぎていく誰かに
焼き直して3回転半した音楽に嘔吐しながら
ギフト、生きていくだけのぼくたちに
ひさしぶりに太陽とすずしさの午後
ハロー、マチルダ
ハロー、マチルダ
公園では、抱えた小脇に
ひとつ大きななにかが終わるのを願っている青年の
たいそうな記憶がつぶれたまま夢をかすめとっていく


自由詩 本とマチルダ Copyright nm6 2008-09-10 02:10:49
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