この水、
ブライアン

よく晴れた日だった。
午後から大雨になる、と朝のニュースは伝える。

午前中に駅に着いた。
駅前だけが、寂しく栄えていた。
少し歩くと住居が立ち並び、
田畑も見えてくる。

約束まで、まだ遠い。
夏休み中の子供たちが遊んでいる。
住宅と道の間には用水路が通っている。
昨夜の雨が水位を少し上げていた。

遠い国で用水路を作る日本人が殺された、と朝のニュースは伝える。
悲しみ、怒り、空しさを拳に秘めて、
しかるべき援助が必要だ、と訴える映像が流れた。
ニュースは、傷ましい、と言った。

この国は湿潤だ。
それでも用水路は通る。
雷鳴が遠く響く。
用水路の水位が上がる。
この水、
世界を救う祈りがどこか唱えられている。


自由詩 この水、 Copyright ブライアン 2008-09-08 00:17:04
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