ナイトビジョン—幻のstreetwalker
セルフレーム



この路地裏には

この世界のすべての「黒」が

詰まってゐる―


ナイトビジョン―幻のstreetwalker


この路地裏には、
この世界のすべての「黒」が
詰まってゐる―

streetwalkerが腕を組んで歩く。

わたくしはそんなものを見詰め、
息を殺し、
窓を閉め、
筆を執る。

此処で出会ったstreetwalkerを記すため。


―ティナ
わたくしに1番始めに声をかけてきた。
働いている所は知らないが、学生だと言っていた。

―リュシアン
出身はルーマニアだそうだ。
此処で一番大きな娼婦館で働いている。

―アニタ
詳しくは知らない。
生まれも育ちも此処、母親はバーのオーナー。

―ステファニー
名前は偽名らしいが、気に入っていると言っていた。
まだ若いが、昼は何の仕事をしているのだろうか。

―エヴァ
昼は子育てにスーパーのパート、
夜は高級娼婦館のナンバー1。2児の母である。

―アメリア
地下のダーツバーのオーナー。
此処に住んではいない。首都郊外のアパートに住んでいる。


streetwalkerは、夜を纏い、
夜と寝て、
夜に抱かれる

―女達である。


朝日が昇る。
空が青に染まる。

閑散としたこの路地裏に、昨日の女が姿を見せ始めた。

夜という衣を脱ぎ、
夜という愛人と別れ、
夜という「変身の道具」を捨てた、

一人のwomanが

姿を現した。


ナイトビジョン―幻のstreetwalker


昨夜のstreetwalkerに出会うのは、

今夜の話になりそうだ―


―綺麗なネオンに包まれた女達を記すため、

わたくしはまた筆を執ってゐる―




自由詩 ナイトビジョン—幻のstreetwalker Copyright セルフレーム 2008-09-06 21:22:06
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