晩夏
野狐禅

堤防のコンクリートに
へばり付いた火花のあとは
子供達の嬌声を捲いていた

水面を跳ねるきらめきは
冥く、果ての無い空間から
生まれ、育む

風はもう見えない
遠く、太平洋沖のあの島を通り
極楽鳥の綿毛を撫で
小麦を揺らすだろう

君と僕を隔てた
言葉に出来ない劣情は今夜
アフリカの少年や
キエフの娼婦たちの心を
同時に貫く

狙いすましたように

珍しい事ではないのだ

出会って別れて
また出会って
僕らは営みを紡いでいく

隔てたものに名前はついていないが
それは確かに存在して
幾千もの別れと
新しい出会いを生んできた


さよなら。


あの風がまた吹くのなら
僕たちは出会えるだろう
あの橋脚の下で


自由詩 晩夏 Copyright 野狐禅 2008-09-06 00:45:24
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